この活動を始めたわけ


日本財団のウェブサイトはこちら

この活動を始めたきっかけは、今回のセミナーのために作成したマニュアルの後書きに記してあります。
長くなりますが、引用します。

 この冊子は、障害の重い子の理解と表出をアセスメントするための、基本的な考え方とその実践方法を学ぶために作られました。
 障害の重い子と生活していると、この子はどこまで「わかっているのか」と悩むことがあります。
 その答えを出すことはとても難しいことです。そこで支援者は「きっとわかっているにちがいない」と、
 敢えて信じることで、たくさんの言葉がけをしたり、選択肢を提示したりします。
 時々見られる微弱な表出を捉えて「わかっている」と判断したり、何も反応がないことでまた悩んだりと、安心と心配を繰り返したりします。
 そんな人たち全て共通するのは、目の前にお子さんのことを本当にわかりたい、という強い願いです。

 長野県稲荷山養護学校では、このような状況を踏まえて、重度重複障害のお子さんとのコミュニケーションと、
 そのベースになるアセスメントについて、様々な側面から研究を続けてきました。まだまだ研究と実践の道半ばではありますが、
 ここまでの成果を一旦みなさんと共有し、より良い取り組み方を考えて行きたいと考えました。
 そこで、三項関係を軸にしたアセスメントとその実践方法、実践事例をマニュアル化し、同時に活用方法研修会を行うことにしました。

 2015年に「黙って観るコミュニケーション」という本が出版されました。
 これは障害の重い子とコミュニケーションをとるために、敢えてまずは「黙って観よう」と提案する、画期的な本でした。
 同じ悩みを共有し、本当のコミュニケーションを希求する多くの支援者に読まれています。
 本冊子の執筆メンバーには「黙って観るコミュニケーション」の事例執筆に関わったメンバーもいます。
 基本的な考え方は「黙って観るコミュニケーション」の執筆者である、中邑賢龍先生、巖淵守先生、武長龍樹先生のビジョンに多大な影響を受けています。
 アセスメントの方法、特に具体的な手順やICTの活用方法については、別のアプローチを取っていますので、それぞれの良いところを参考にしていただければと願っています。

 最後に、この実践の成立までに多くの貢献をしてくれた、旧自立活動室専任教諭・田城聡子先生、
 東大との連携や重度重複研究を応援してくださった稲荷山養護学校長・宮坂正先生、前校長の中原順治先生、
 本実践に研究助成をくださった日本財団のみなさんに心から感謝いたします。

そう、今回のセミナーと一連の活動は、まずドロップレット・プロジェクト代表・青木や、イラストレーター竹内も勤務する、
長野県稲荷山養護学校が、東京大学先端科学技術研究センターと連携して(というのも少々おこがましいですが…)始まった重度重複研究に端を発しているのです。

About aoki